群れをつくる動物には序列があるものがあります。
序列とは、集団中の偉さのランキングです。
序列がある集団では、個体は平等ではなく、
序列が高いものが優先的にエサや異性を獲得します。
逆に序列が低いと生活の快適さも下がります。
序列下位の個体にとって、
序列という制度は一見不都合に思えますが、
実は下位の者も、そしてもちろん上位の者も得する制度なのです。
序列がないと問題になるのが、
資源の配分です。
一般にエサや異性といった資源は限られるので、
奪い合いが発生します。
このとき序列が無いと、
争いが発生し、場合によっては殺し合いにまで発展します。
理想的に思える序列の無い社会では、
この争いにかける時間、労力、そして怪我や死亡のリスクが問題になります。
これを解消するのが序列という制度です。
誰が偉いかをあらかじめ決めておけば、
無用な争いを避けることができます。
下位個体は自分が負けて傷つくのを防げますし、
上位個体はどうせ勝つにしろ時間と労力を節約できます。
序列は人間も利用しており、
国家、軍隊、会社など多くの組織で見られます。
子どもが通う学校では、生徒間でも序列が存在し、
スクールカーストと呼ばれます。
序列下位の人が序列を無視すると、上位の人と争うことになり、
たいていの場合は下位の人が負けます。
これはあまり賢明とはいえません。
人間は平等であるという考えを持っている人もいるかもしれませんが、
個人として生きる面では序列を受け入れた方が良い選択と言えます。